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これは拾い画ですが、
下北沢のことを考え始めると壮大なコンプレックスしかない。
わたしがはじめて下北沢に足を踏み入れた2016年はちょうどこの駅前食品市場が解体されようとしていた時だった。わずかにそこに小屋は残っていて、たった一度しかそこを歩いていないはずなのに今も駅前を見渡すたびにここにはボロボロの小屋が敷き詰められていたことを、鮮明に思い出してしまう。食品市場があったという記憶が多くの人から失われようとわたしは絶対に記憶の中で守り抜きたいという、どこから生まれているのか全くわからない感情に支配される。
今の下北沢を見ると昔に比べて個性が失われ、オルタナティブの存在する街へと移り変わってしまっているように思う。私の脳を満たすのは決まって昔からある古本屋や、狭い路地に佇むスナックや喫茶店、そして珉亭…。過去の下北沢の面影をどうにかして感じたいと必死である。必死にさせないでほしい。昔のようにまち自体がわたしを能動的に楽しませてくれたらいいのにと思う。都市開発に「物語」は勝てないのだと失望する。
20歳にして老害のようなふるまいをするわたしは死ぬまでさまざまな都市へのコンプレックスをどこかにぶつけながら生きていくのかな。無様だね。
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