74(ポッドキャスト語り)
奇奇怪怪明解事典が、話の展開の仕方を変更してしまってから、少し物足りなくなってしまった今、出会ってしまったのがこちらのポッドキャストになります。
奇奇怪怪明解事典は、ラッパーのタイタン氏とmononoawareボーカルの玉置氏によるポッドキャストで、フォロワーは1万人を突破。2月には書籍化も予定している。この番組の魅力は、サブカルにもポップカルチャーにも開けたカルチャートーク。教養を問うような話題に差し掛かっても、独自のノリやテンションの明るさで補い、彼らの会話は全リスナーを虜にする(?)。私は過去の記事で「次世代・東京ポッド許可局」のようだと記述した…
この番組の変化の話に戻すと、番組が広く知れ渡り様々なリスナーを獲得する中で、曖昧さをポッドキャストで表現したかったタイタン氏の思惑がうまく伝わらなくなってきたのだと思う。そこで彼らはこれまでのやり方であった「議論を白熱させて互いの意見を交換し合う」ことを避け、「ノリ」やテンポを重視した会話を意識するようになった。もともと彼らの作るノリは独特でこの番組の魅力の一つであったが、そこに全振りし、議論に対する答えを明確に出す作業から離れた、という考察です。(タイタン氏はSIDE-Bのおぐらさんとの対談でも少しそんな話をしていた)全発言「マジ」であると捉えられるほど辛いことはないので、このちょっとした路線変更も大いに理解できるところ。今後も変わらず奇奇怪怪を聴き続けるけど、やっぱり濃い会話が聞きたい。そこでおぐらさんの番組にハマってしまったというわけです。
こちらはマジな人が、わかりやすくポップに話す番組(奇奇怪怪はポップな人がマジなところに踏み込んでいた)。ライターの速水健朗氏と編集者のおぐらりゅうじ氏による時事放談で、2人ともしゃべりのプロではないけれど、内容の濃さであったり、わかりやすさ、面白さがそれを上回ってくる。おぐらさんの無邪気なリアクションと、速水さんの冷静な分析に加えて少し可愛げのあるキャラクターが良いバランス。これこそ芸人ラジオに匹敵する、べつの意味での面白さを具現化してくれてる番組ですね、個人の好みの話ですけど。
堅苦しい批評や知見も、ポッドキャストを併聴することで、本だけではなし得ない解像度の高い理解を得られそう。まあ実際にそうやって活動してる人も多いのか。今の私にとってポッドキャストは本と同じくらいコスパが良く、心地のいいインプット手段となっている。今更大きな声で「注目メディアですよ」なんて言えないのだが、今後ポッドキャストがどう発展、衰退していくのかは注視したいです。
0コメント