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「ギャルに頼らずに、生きていくにはどうしたらいいと思う?」「どういうことっすか」「オタクに優しいギャルって知ってる?」「?」とまあ、何も知らなかった私はいろんな説明を受けた、(翌日に渡って)いろんな話をした。オタクに優しいギャルっていうのは、額面通りの意味で、実際には存在しない概念の話。オタク男性の欲望をここまできれいにつるっと言語化してしまうなんて、いわば奇跡的な言葉だ。「日本の限界っすね」「きもいですぅー」とか話しながら、私は言葉にしないが、あることを並行して頭で考えていた。「2023年、ギャルマインドは、文化系女子にまでおりてきてしまってるのではないか」男性が頼る外的なギャルではなく、女の子(少女たち)が頼る内的なギャルマインドについての話だ。
よがよなら、というか、世が昭和なら、世が平成中期なら、ギャルマインドとはほど遠い暮らしをしていたような女の子たちが、もう、真っ当に生きてたら、心が死んでしまうと本能的に感じて(今が全方位的に最悪すぎて現実を直視したら殺られてしまう)、全員ギャルマインドで武装しなければならない状況になっている。ギャルのメンタリティに頼らないと生きていけない、そんな空気感がある。「だれになんといわれようと、わたしはかわいい」「今日のわたしかわいすぎでは」「わたしがいちばんいけてる」のノリ。とはいえ、生粋のギャルでない私たちは、マジレスされたら一瞬で落ち込んでしまう心の持ち主。ネガティブの裏返しのような大衆性を帯びたギャルマインド。ネガがあってこそ映えるギャルマインド。それがリアル、2023年のリアルだ、と本気で思っている。Y2Kファッションも、親和性が高くって、平成初期のギャルファッション要素が欠かせない。結局は、前にブログ(←前半部分参照)に書いたことと繋がってくるんだけど、とにかくわたしたちは現実を直視することから本能的に逃げている。もちろんこれを書いている私も。NewJeansはETAのMVで5人とも羽をつけていた。どこかに飛んでいきたいのだ。ここではないどこかへ。向き合うべきバッドモードはないものとして、遠くだけを見て生きている、存在しない遠くを。
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