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(祖父の初盆で、寺に垂れ下がっていた)
菊の紋章をみて思い出す。あのときのトリップを
自分の精神の不安定さを補うために、天皇制に頼るってどんだけ清いんだよって思う。この現代社会で。あなたは日本そのものみたいだねって。そんなこと言ったら彼はなんで答えるんだろう。結局、本当に考えていることはなにひとつわからなかった。
わからないことが、こんなにも美しいとは思ってもいなかった。わからないことが、こんなにも官能的だとは思ってもいなかった。
不安定であることが、あのときのわたしにとっての均衡だったような気がする。地に足なんてつけていられなかった。ただできるだけ浮いていて、どこまでも地面から離れようとした。現実に似た逃避行。逃避行のような現実。どちらとも言えた。
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